無い

色の塗られていない自分の爪を見ては、無くしたもののことばかり考えている。辞めた前の会社のこととか、一年前に別れた元彼?のこととか、疎遠になった友人のこととか、飽きてしまったアイドルのこととか、他にも色々。

大学生の時からこまめに塗っていたネイルをもう1ヶ月近く塗っていない。塗っても思ったものと違ってすぐに落としてしまう。自分の生活も含めて、端から端まで気に入らない。

 

会社に行って、仕事をして、帰ってきて、ご飯を食べて、お風呂に入って寝る。起きたらメイクをして、電車に乗って、会社へ行く。

生活をしている。2ヶ月前は無職だった私が、働いて、生活をしている。生活の質は上がっているはずなのに、どんどん空虚になっていく。

別に、残業続きで自分の時間が無いとか、そんなんじゃない。定時に帰ることだってあるし、残業しても終電で帰るとか、そんな厳しい環境じゃない。だけど、なぜか、とても虚しい。空っぽ。どんどん無くなっていく。

何が無くなっていっているのかは分からない。だけど確実に無くなっていっているから、その何かを持っていた時のことを考えてしまう。無くしたもののことたちを。

 

昔のことを考えないようになったと思っていた。だけど、考えないようにしていたのかもしれない。

ここ数日、考えてばかりだ。仕事のことも、こういうことも。だから頭がいっぱいになってパンク寸前で、思考の回路は混雑して入り乱れて、気付いたら環状線ができていて。

 

考えないことができないから、今日も考えるし明日も考えるけど、無くしたものは戻ってこないし取り戻しに行こうとも思わないから、まだしばらくは「無い、無い、空っぽ」って焦ってる。